キャッチ茶館
おくらです。
ふとしたきっかけで知ったのですが、最近マッチングアプリで知り合った女性とバーに行ったら高額請求された、というトラブルがあるそうです。
これを聞いて思い出したことがあります。
かれこれ10年以上前、おくらは中国杭州に半年ほど留学(≒就職亡命)していました。あるとき、知り合いが上海に来るということで、迎えにいったのですが、到着まで時間をもてあまし、上海博物館近くの公園をうろうろしていました。
すると、20代前半から半ばくらいの3人組:兄貴分っぽいイケメン、愛嬌のあるぽっちゃり系の女の子、短髪メガネで純朴そうな弟分に声をかけられました。
「僕たちは蘇州から旅行に来たんだけど、上海駅ってどっちか知ってる?え、あなた日本人なの?中国語うまいね!僕たち、日本に興味があるんだ。」
聞き取りやすい標準語(普通話)でゆっくり話しかけてきたおかげでだいたい理解できました。3人組と日本の都市やら、有名人やらの話題で盛り上がってくると、
「そうだ、もっとゆっくり話そうよ!近くに茶館があるんだ。中国の伝統的な茶芸を見せてくれるお店だよ。」
当時は茶の湯も習っておらず、中国の煎茶文化なんてそれ以上に疎かったのですが、水墨画やら篆刻やら古いもの全般に興味があったので、「待ち合わせしてるから長居できないけど…」と言いつつ、ノコノコついていくことに。
すると何やら薄暗いビルの一角に連れていかれ、バーのような席に4人1列に座らされました。
用意されたお茶はジャスミン茶、龍井茶など5種類、チャイナドレスを来たお姉さんが急須の熱湯をじゃぶじゃぶと茶杯やら茶盤にかけます。ぽっちゃり女子が、赤いお茶を指して「これが甘くておいしいよ」と教えてくれます。せっかくなので茶芸の写真を撮ろうとしたら、兄貴分に、「ここは撮影ダメなんだ」とたしなめられました。作法を鑑賞し、お湯の中で花開くお茶に驚き、中国文化の話で盛り上がり、さて、お会計に…。
兄貴分「一杯50元、お茶を5種類注文したから、一人、250元(当時約4千円くらい)だ。」
え?みんなでじゃなくて一人ずつ250元なの?普通、喫茶店でお茶を頼むと、15元くらい…えらい高いな~とは思ったものの、3人とも普通に支払っています。ちょっとモヤモヤしつつ手持ちで何とかなったので、支払いを終えました。公園まで連れてもらった後、3人組とは「今日はありがとう」って言い合いながら別れました。
後日…友人の中国人にこのことを話すと、「お前それ詐欺だよ!」と一蹴。
たしかに……、上海駅は知らないのに薄暗いビルの店は知っている不自然、写真撮影禁止の茶館、時々仲間内で話していた聞き取り不能の蘇州語(?)、すべての謎が一本の線につながった!アホのおくらはその時まで自分が騙されていたことすら気付かず…。「たくさんお話もできたし、いい思い出ができた~」なんてのんきなことを考えていたので、当時は結構ショックでした。
兄貴分は切れ者っぽかったが、残りの二人まで詐欺師だったとは…。さすがに美女や怪しい男に突然声かけられたら警戒しただろうけど、自分と同じ臭いがするどんくさそうな弟分や、ぽっちゃり女子を入れた巧妙なスリーマンセル作戦に完全に油断していました!それにしても、クラブやカラオケならともかく茶芸って…。
後々調べたところ、店とキャッチはもちろんグルで、ターゲットがギリギリ支払えそうな額を請求してくるそうです。(おくらは4千円の男)数年後、友人(日本人男)も同じ手口(男二人旅行でキャッチは女二人だったらしい)で、お茶代一人2万円請求されたとか…。なんか微妙に色々悔しい。(笑)
今でもこの手口があるのかはわかりませんが、バーに行きたがるマッチング女性と上海のキャッチ茶館にはどうぞお気をつけ下さいませ。