ぞうさんのエレベーター
けっこう古い団地に住んでいます。
同じ階のおばちゃんが「万博があったときより前からあるのよ~」と言っていたので、
40年はたっているということでしょう。
そんな建物が建った当初からあったというエレベーターなので、
もちろんガタガタで、速度もおどろくほどおそく、息絶え絶えという感じで、
友人は、「ぞうが上でひっぱっているんじゃない?」と言っていて、
その表現はよくわからないけれど、うなずけるものでした。
さすがに、これ以上は動かせないということになって、
先週は新しいエレベーターにする工事のため、一週間使えなくなりました。
歩いてのぼったほうがはやいんじゃないの? とふだん思っていたものの、
やはり、そんなエレベーターでも助けてもらっていたらしく、
10階という場所に部屋がある私は、ゼエゼエ言いながらのぼることになりました。
そんな調子だったので、新品のエレベーターに乗ったときは、
「わあ、速い! ガタガタしていない!」と、まあ普通のエレベーターよりは
少しおそいぐらいなのですが、感動していました。
ただ、以前のエレベーターになれつつあったせいか、
「あのガタガタしているのも、味があったよなあ」と勝手なことを思ったりもしています。
子どものころも、ずっと団地で育ってきたので、なんとなく団地の生活が落ち着きます。
夜など、窓の外に見える、同じ形をした窓の光を見ながら、
それでも、それぞれにそれぞれの生活があり、
うれしいことや苦しいことやいろいろあるんだなと思うと、
心強くなったりしました。
私が現在住む団地は、敷地内にネコがけっこういて、
夜、帰ってくると、「ネコ会議」をしたりしています。
そんな場面に出会うのも、楽しみのひとつになっています。
あや