オリンピックの魔物
「伸身の新月面が描く放物線は、栄光への架け橋だ!」
このセリフを聞くと,誰もが同じ映像を思い出すと思います。
2004年アテネオリンピック 体操男子団体総合
最後の種目,鉄棒での冨田選手の素晴らしい演技と
NHKアテネオリンピックテーマソングゆず「栄光の架橋」を重ねた
NHKアナウンサーの実況映像です。
この年の体操男子団体総合の金メダル獲得を見て感動した人は,
日本国中にたくさんいると思います。
この時の体操競技を見ていなくても,これから先のニュース映像や
オリンピック映像で見た人はたくさんいるはずです。
そして,アテネオリンピック体操男子団体総合の金メダル獲得を見て
誰よりも強く憧れたのが,今現在開催されているロンドンオリンピックの
体操男子のエース 内村航平選手です。
(注)ここから先は,先日の体操男子団体総合決勝を見て抱いた
ゆうこりんによる解説&感想などです。
まるっきりいつもの趣味の一環です☆
個人の成績は言うまでもなく世界トップレベルです。
演技の難易度の高さもさることながら,演技がとても綺麗です。
つま先まで綺麗に伸びた演技は圧巻です。
そんな内村選手が,個人の栄光よりも重視したのが
団体総合の金メダル なのです。
<中略>(笑)
北京オリンピックでの銀メダルから4年。
今度こそはと強い気持ちで挑んだ金メダル獲得ですが,
最初の練習から,慣れないフランス製の鉄棒に悪戦苦闘。
予選でのまさかの落下。
ミスの連続する予選を5位で終わり,
気持ちを切り替えて挑んだ決勝。
最初の種目 つり輪で三人とも15点を上回る好成績。
(一種目で三人演技して,その合計点で競います。全部で六種目です)
このまま流れに乗れるか……と思った矢先の
跳馬での山室選手の怪我。
その後,平行棒・鉄棒・床と続いていきましたが,
得意の床で差をつめるどころか差は開き,
(個人的には,加藤選手の床の演技が好きです。スピードがあってとても綺麗な演技です)
最後の種目 あん馬。
棄権をした山室選手の代わりに演技した田中(兄)選手がまさかの落下。
最後の競技者 内村選手が演技をする時には
すでに中国の金メダル獲得が決定していたのです。
アテネオリンピックから8年。
北京での銀メダルを経て,今年こそ金を!
と強く願った内村選手。
得意種目の違うバランスのいい選手が集まり
予選から1位を狙える条件は揃えていた。
そんな日本チームでエースとして出場。
誰より個人の金を夢見ていい彼は
頑として団体での金を望んでいた。
そんな彼が,,
どんなによい演技をしても
どんなに華麗に回っても
綺麗にぶれのない着地をしても
どんな演技をしても,もう金メダルには届かない。
内村選手の演技で決まるのは,銀メダルか銅メダルか
どちらかということ。
開催国イギリスがメダル圏内に入ったことへの観客の喜びの声の中
静かに演技を始めた内村選手。
金メダル獲得のためでなく,そしてきっと銀でも銅のためでもなく
ただ,絶対エースとしての演技。
最後バランスを崩してしまっての着地。
そして,電光掲示板に映し出された4位の表示。
一瞬,目を見張る内村選手。
金メダルだけではなく,どのメダルも獲得できなかった絶望が
走馬灯のように駆け巡ったのではないでしょうか。
その後,監督・コーチの抗議により
協議の結果,日本は2位となりましたが,
この時も一度喜び,そしてすぐに顔から喜びは消えていました。
「4位でも2位でもいっしょ」だとコメントした内村選手。
誰よりも金メダルを望んでいた彼が言ったこの言葉は
何よりも重たく感じました。
北京でもロンドンでも叶えられなかった内村選手の夢。
勝利の女神が「まだ,その時じゃないんだ」と言っているのでしょうか。
もしまだ夢をみることができるのなら,私はこれからも応援し続けたいです。
今夜,団体総合で勝ち取れなかった金メダルを
今度は個人総合で狙っていきます。
きっと誰もが「今度こそ,内村選手に金を!」と願っているのではないでしょうか。
4年に1度のオリンピック。たった一度,決勝のその瞬間に
一番いいコンディションを作るのは並大抵のことではないと思います。
そんな強い選手たちに声援を送りながらも,応援している私達が
勇気や希望をもらっているのだと痛感します。
ありきたりですが,そんな選手たちに心からの声援と拍手を送りたいです。
ゆうこりん☆