役に立つかどうかわからん古典トリビア(3)

役に立つかどうかわからん古典トリビア(3)
 節(せち)は、五月にしく月はなし。菖蒲(せうぶ)、蓬(よもぎ)などのかをりあひたる、いみじうをかし。
(清少納言『枕草子』第三十七段)

 五月といえば、端午の節句です。平安時代も、端午の節句は行われていたのですが、当時は邪気を払うとされた菖蒲や蓬を屋根に飾ったり、身につけたりするだけでした。現在のように菖蒲湯に入ったり、鯉のぼりを立てたり、五月人形を飾ったりするのは江戸時代に入ってからの風習です。

 端午の節句が「こどもの日」という名称なのに、今でも男の子の節句と見なされることが多いのは、古くからこの日に飾られていた菖蒲が「尚武」という音につながるため、江戸時代に士族階級が我が子の立身出世を願って武者人形をかざったり、鯉の滝上りの故事にちなんで鯉のぼりを飾ったりしたからです。

 三月三日に行われる桃の節句も、もともとは自分の厄を払うための節句だったのですが、端午の節句が男の子の節句と見なされたために、桃の花の華やかさや流し雛(びな)からの連想で女の子の節句と見なされたのです。

古池ケロリ

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