新参者

11月吉日,彼女はわが家にやってきた。

屈強な男二人に連れられて
しずしずとわが家にやってきた。

わたしが彼女に初めて会ったのは・・・
8月、うだるような暑さと仕事の締め切りのストレス解消のために
入った店だった。
店に入ったとたん目に飛び込んできた彼女の姿。

あまたの中で彼女だけにスポットライトがあたっているように
彼女は光り輝いていた。

ゆったりとした姿で艶然とほほえみながら
「いらっしゃい」と誘われたような気がした。

彼女の誘いにふらふらと近寄る私
ふだんならそんな不埒なことはしないのだが
ついつい彼女をみつめ
あまつさえ彼女に触れてしまったのだ

一瞬で彼女の虜になってしまった

それからというもの店に日参し
彼女をみつめた

店の人には不審者と思われたかもしれない。

どうしても手に入れたい!
日々わたしの欲求は高まっていった・・・

彼女を手に入れるには数々のハードルがあった

いったいいくらでわたしのものになってくれるのか
家につれかえり新参者の彼女が家になじんでくれるのか
家族の反応も気になるところだ

しかし彼女への気持ちは抑えきれず
ついに
ついに
手に入れてしまった

今や、彼女が待っているがために
早く家に帰ろうとするわたしがいる

ついに手に入れてしまった彼女

彼女の名前は・・・
出会ったときに
わたしが命名した「もみこ」

高機能マッサージチェア

わが家のリビングにやってきた新参者の彼女は
すんなりと古参の家具とも馴染み
今やわが家のアイドルだ

常に家族の誰かが座り
彼女に癒されている。

あぁ・・・今年一番の出会いだ。

by デイトレーダー志望