54個の手裏剣
私の好きなアーティストで現代美術家の河口龍夫さんという人がいます。
その人は「見えること」「見えないこと」、関係性や時間といった事をテーマに制作活動をされています。
その河口さんの作品の一つで、涙を溜め続けた小さな入れ物があります。(作品名は覚えていません)その小さな入れ物を振ると微かに液体が入っている音がする。中身は見えません。
かなりの長い時間(本人に聞いたけど、どのくらいか忘れた)をかけて溜めたと、涙を溜めるしぐさと共にお話しを聞かせてもらいました。
とても面白く、強く興味を掻き立てられたことを記憶しています。
これは確か10年ぐらい前のお話。
この時のことを、時々思い出しては思いを馳せていました。
私も何か出来ないかな、と。
思いを馳せてるうちに自分に子どもが産まれ、どんどんだんだんモノが家に溜まりはじめ「これは遂にチャンスが来たのでは?!」と挑戦してみる事にしました。
最初は「木の枝」。子どもって思った以上に大きな枝を持って帰ろうとするんですね。失敗に。次は「石ころ」。これも石ころとは呼べない大きなモノを持って帰ろうとするので失敗に。どちらも1年〜2年ぐらい挑戦しましたが挫折。他にも色々と失敗ばかり。
なかなかしっくり来ないなぁと思っていたら急に集まりだしたモノがありました。
それは「折り紙の手裏剣」。
自分で作ったり、お友達に貰ったり、園のお兄さんお姉さんに貰ったり、私達と作ったり。
手裏剣が集まり始めて約3年、1つも捨てずに箱に入れてきました。
そろそろ数えてみようかなと、数えてみたら54個。
いっぱいあるなー。
とても感慨深く眺めました。
そんな息子も、この3月で保育園を卒園します。
手裏剣もあまり折らなくなりました。
この辺りで一旦、手裏剣集めも終了となりそうです。
と