ちょっとイングリッシュ Article2

先日,日本人の研究者3人が受賞したノーベル賞授賞式のダイジェストをテレビで見ました。
最近,日本人の受賞者が多くなっていることはうれしいことですが,そのほとんどが理系の研究者になっていますね。
ずいぶん前のことになりますが,1994年に大江健三郎がノーベル文学賞を受賞したときの受賞講演のタイトルは,
“Japan, the ambiguous, and myself”でした。
この講演は本にもなっており,その日本語タイトルは,
『あいまいな日本の私』です。
ここでthe ambiguousは〈the+形容詞〉の形で名詞として働いていますが,それは今回の本題ではありません。
本題は「あいまいな」と訳されているambiguousという形容詞です。

「あいまいな」という意味の英語で大学受験生が覚えておくべきもう1つの単語はvagueでしょう。
では,ambiguousとvagueの違いは何でしょうか?

ambiguousの語源はラテン語のamboで,もともとは「二股に分かれた枝」の意味です。
そこからambiguousは「二義的な,両義的な」,さらには「多義的な」という意味になります。
それに対して,vagueは「(境界線が)あいまいな」という意味です。

つまり,
・「トマトは野菜か果物か?」という問題はambiguousな問題
・「野菜というカテゴリに含まれる食べ物は?」という問題はvagueな問題
ということになります。(Mr. N)